E-TOMO Tasting Navi No.5

2023年08月30日

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ピノ・ノワール Pinot Noir

E-TOMO Tasting Navi 第5回は、その繊細さとエレガントさ、比類なき深みと複雑さで、世界中のワイン愛好家を魅了し、世界で最も高価なワイン「ロマネ・コンティ」を生み出す黒ブドウ品種、ピノ・ノワールをご紹介! ピノ・ノワールとは、どんなワインなのでしょうか?

起源

フランス ブルゴーニュ地方原産とされる赤ワイン用ブドウ。
その歴史は非常に古く、初めて文献にその名が言及されたのは14世紀(1345年)ですが、紀元1世紀頃からブルゴーニュ地方で栽培。その起源については諸説あり、もともとブルゴーニュに自生していた野性のヴィティス・ヴィニフェラを、土地の人々が選抜して栽培を始めたという説もあれば、黒海とカスピ海の間で生まれたという中東起源説、ガリアで生まれ、ローマ人を経由してブルゴーニュに伝わったとされるローマ起源説もあります。海外の文献を読み比べても、いずれも確たる証拠を欠いた推測の域を出ないものばかりですが、その起源にかかわらず、ピノ・ノワールがブルゴーニュ地方と密接な関わりを持ち、高品質なワインを生産する偉大なブドウであることは、間違いありません。

2000年に行われたDNA分析によると、ピノ(Pinot)とトラミナー(Traminer)の間には親子関係があり、トラミナーがピノの子孫であると推測されていますが、逆の関係も否定できないとのこと。ピノ・ノワールの親が誰なのかはさておき、世界中の名だたるブドウ品種はピノ・ノワールの遺伝子を受け継いでおり、その子供には、シャルドネ、アリゴテ、ミュスカデ、ガメイ、グーエブラン、サヴァニャン、サンソ―、ピノタージュ、サンローランなどがあります。

名前は、フランス語の「松(pin)」と「黒(noir)」に由来。房の形状が松ぼっくりに似ており、小粒な果粒が密着していることから、その名が付いたとされています。

特徴

■ブドウ
一般的にカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーよりも葉が小さく、樹勢も弱い。小粒で房も小さく、その名の通り、円錐形で松ぼっくりのような形。芽吹きが早く、春の遅霜、開花時の低温が脅威となる。
果皮が薄く、果粒同士が密着しているため、ベト病や灰色カビ病にかかりやすく、温暖産地ではうどんこ病やウイルス病などの危険も伴い、栽培が特に難しい品種とされ、キャノピーマネージメントを入念に行う必要がある。
非常に気難しい品種でもあり、気温が低いとまったく熟さない。暑すぎるのも苦手で、トレードマークである酸味、繊細さ、フィネスが失われるため、冷涼な気候の方が適している。

■香り
世界で最も官能的な香りを持つ黒ブドウのひとつで、ラズベリーやストロベリーなど赤いベリーを基調とし、バラやスミレなど華やかな花のアロマ、しばしば土っぽさ、お香やスパイスを伴う様々な香りを持つ。熟すとチェリー、マッシュルーム、森の下ばえなどの複雑な風味に加え、長期熟成により、絹のような質感とトリュフ、ジビエ、皮革の魅惑的なニュアンスが感じられるようになる。


■スタイル
赤ワインにおいては、他の品種とブレンドして造られることがほとんどないのが特徴。一般的に辛口で、ライトからミディアムボディ。鮮やかな酸味とシルキーなタンニンを持ち、アルコール度数は12~15%。
テロワールを色濃く反映し、冷涼な気候では、よりデリケートでライトボディのピノ・ノワールが、温暖な気候では、アルコール度数が高く、より熟したフルボディのピノ・ノワールが造られる。
味わいは、産地や気候、生産者のスタイルによって大きく異なり、フレンチオークの古樽を使用した伝統的でクラシックな造りから、新樽100%で熟成させた、より芳醇でテクスチャーのあるワインを生み出す生産者も。

ピノ・ノワールは、シャンパーニュやスパークリングワインの主要品種でもあり、この場合はシャルドネ、ムニエなどとブレンドされることが多い。シャンパーニュを含め、必ずしも赤やロゼとは限らず、ピノノワール100%、もしくは、黒ブドウとのブレンドのみで造られた白色のワインは、ブラン・ド・ノワール(Blanc de Noirs)と呼ばれます。

代表的な産地

フランス

ブルゴーニュ地方を中心に、ロワール川中流やシャンパーニュ地方、アルザス地方、ジュラ・サヴォワ地方で栽培。そのほとんどがピノ・ノワール単一でワインが造られています。


■ブルゴーニュ地方
言わずと知れたピノ・ノワールの原産地。ブルゴーニュ全域で栽培されるが、世界最高峰のピノ・ノワールを生み出す銘醸畑がひしめく北のコート・ド・ニュイ、シャルドネの銘醸地ながら、軽やかでチャーミングなピノノワールも多く造られる南のコード・ド・ボーヌが主産地。
「ブルピノ」の愛称で多くのファンを持ち、酸味のあるレッドベリーに土の風味や茎のニュアンスを感じる入門的ワインから、官能的で妖艶な1本数万~数十万円するグランクリュ(特級畑)のピノ・ノワールまで、幅広く生産。近年の価格高騰により、今やボルドーを超える高級ワインの代名詞となり、簡単には手が届かないワインも多く、ブルゴーニュに取って変わるワイン産地の開拓に力を入れているソムリエや愛好家も増えています。


■シャンパーニュ地方
主にシャンパーニュ用のピノ・ノワールを栽培。モンターニュ・ド・ランス地区とコート・デ・バール地区が主産地。栽培面積は、シャンパーニュ全体の約40%と最も広く、シャンパーニュにピノ・ノワールをブレンドすることで、骨格とボディを与える。ごく少数ながら、ピノ・ノワール100%から造られるスティルのロゼワイン(ロゼ・デ・リセ)や赤ワイン(コトー・シャンプノワ)も生産。


アメリカ

■カリフォルニア州
カリフォルニアワインといえば、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンの2大巨頭だった時代から、2004年に公開された映画『サイドウェイ』をきっかけに、ピノ・ノワール人気が一気に高まり、急速に栽培が拡大。
当初、温暖なカリフォルニアで栽培されるピノ・ノワールは、色が濃く果実感たっぷりの、ブルゴーニュとは大きく異なるフルーティーで力強いワインが主流。しかしながら、近年では適地適品種の研究や、栽培技術の向上により、驚くほど高品質なピノ・ノワールが造られるように。
注目産地は、いずれも乾燥した気候、太平洋から流れ込む冷たい霧と風、複雑な地形によって気候変動するマイクロクライメイトの影響を受ける冷涼産地。

ナパ・ソノマ両郡にまたがるカーネロスAVAは、スパークリングワイン用のブドウも多く栽培。他には、ソノマ郡ロシアン・リヴァー・ヴァレーAVA、ソノマ・コーストAVA、メンドシーノ郡アンダーソン・ヴァレーAVA、モントレー郡サンタ・ルチア・ハイランズAVA、サンタバーバーラ郡サンタ・マリア・ヴァレーAVA、サンタ・リタ・ヒルズAVAなど。


■オレゴン州
冷涼気候から生まれる高品質ピノ・ノワールの産地として、世界的に注目を集めるオレゴン。ブドウ栽培面積・生産量ともに、カリフォルニア、ワシントンに次いで全米第3位。州内のピノ・ノワール栽培面積は6割以上を占め、主産地ウィラメット・ヴァレーは、西の海岸山脈、東のカスケード山脈に挟まれ、AVA内に7つのサブリージョンAVAがあります。

「オレゴン ピノ・ノワールの父」通称 “パパ ピノ” の愛称で親しまれている、アイリ―・ヴィンヤーズの創設者デイヴィッド・レット氏が、ウィラメット・ヴァレーに最初にピノ・ノワールを植えたのは1965年。1979年にフランス パリで開催されたワインオリンピックにて「ジ・アイリー・ピノノワール」が10位入賞。世界にオレゴンピノ・ノワールの存在を知らしめることとなります。


ドイツ

ドイツワインの歴史は、紀元前5~4世紀まで遡るものの、白ブドウ品種の栽培が中心で、黒ブドウ品種の栽培面積は、1980年代初頭まで、わずか10%程度。ようやく1990年代に入り、世界的な赤ワインブームや、地球温暖化の影響で冷涼なドイツでも黒ブドウが熟すようになり、シュペートブルグンダー(Spätburgunder=ピノ・ノワールのドイツ名)の栽培面積が拡大。現在はドイツ最大の黒ブドウ品種として、高品質な赤ワインが生産されています。

かつてはロゼのように色が淡く、甘みのあるスタイルが一般的だったドイツの赤ワイン。近年では品質向上が目覚ましく、色が濃く辛口、新樽や小樽でのオーク熟成といった新しいスタイルが増加。
主産地はバーデンやファルツなど、ドイツでもより温暖な地域ですが、今注目すべき産地は、アール地方。北緯50度と最北ながら、ピノ・ノワールに適した独特の微気候と、アール渓谷の急勾配の畑と粘板岩土壌は、非常にエレガントで骨格のあるワインを生み出します。


ニュージーランド

ブルゴーニュに良く似た気候により、ピノ・ノワールの栽培が盛んなニュージーランド。栽培面積は、全ブドウ中ソーヴィニヨン・ブランに次いで第2位。
冷涼で、昼夜の寒暖差の大きい海洋性気候は、涼しい場所を好むピノ・ノワールにぴったり! 日射量の高さからブドウがよく熟すため、旧世界のピノ・ノワールよりも果実味が豊かで快活な印象に。砂利質の土壌からは、赤系フルーツの香りに満ちた、繊細なピノ・ノワールが生まれます。

生産量が最も多いのは、南島のマールボロで、コスパに優れたワインが多く、品質評価の面では、北島のマーティンボロや、南島のセントラル・オタゴが名産地。日本人醸造家として活躍されるマーティンボロのクスダ・ワインズ、マールボロのキムラ・セラーズなど、日本での注目度も高く、優れた生産者により高品質なワインが多数生産されています。


チリ

日本で今一番飲まれているのが、チリワイン。アルパカに代表される、リーズナブルなヴァラエタルワインで人気を博し、安旨ワインの代名詞的存在ですが、最近のトレンドは、安旨ワインのイメージからの脱却を目指し、適地適品種に着目したプレミアムワイン造りに、どんどんシフトしつつあります。

従来のチリ産ピノ・ノワールは、暖かい気温と恵まれた日照のおかげで、総じて凝縮感のある、力強いニューワールドスタイルのワインが主流。しかしながら、南北に細長く、気候も多様なチリでは、ピノ・ノワールに適した冷涼産地や、マイクロクライメイト、エクストリームウェザー産地の開墾が進み、ピノ・ノワール栽培面積は、着実に広がりを見せています。有名産地は、カサブランカ・ヴァレーやサンアントニオ・ヴァレーといった、フンボルト海流による冷たい海風と霧の冷却効果を受ける海岸沿いの産地。昨今は、チリ最南端や標高の高い産地などでも、高品質なピノ・ノワール造りに挑戦しています。


その他

世界中で栽培されている “国際品種” であり、主に冷涼な気候で栽培されるピノ・ノワール。
上記以外では、イタリア、スイス、オーストリア、アメリカ(ニューヨーク州)、カナダ、南アフリカ(エルギン、ウォーカー・ベイ)、オーストラリア(モーニントン・ペニンシュラ、アデレード・ヒルズ、グレート・サザン、タスマニア、ヤラ・ヴァレー)などが、近年高い評価を得ています。

フードペアリング

ピノ・ノワールは、フードペアリングの万能ワイン。
ワイン会に誘われ、ワインを1本持参しなければならない時、フレンチやイタリアンならまだしも、和食に合うワインは? 中華に合うワインは? と悩まれる人も多いはず。または、レストランで皆が違うメインディッシュを注文し、ワインを1本選ばなくてはならない時。そんな時は、ピノ・ノワールを選べば、まず間違いありません。

もしピノ・ノワールに最適なペアリングを追求するなら、ワインのきれいな果実味、明るい酸味、エレガントなスタイルを引き立てる料理を合わせるとよいでしょう。
代表的なペアリングとして挙げられる鴨は、ピノ・ノワールの酸味が鴨の脂肪とジビエの臭みを和らげ、なめらかなタンニンと土っぽいニュアンスが鴨の肉質と同調、料理のスパイスがピノ・ノワールの複雑味を引き出すといわれています。鴨肉と同様、仔羊や豚肉など、軽めの赤身肉とも相性がよく、ワインの香りから取れるマッシュルームや土っぽい野菜、ハーブなどをブリッジ食材としてプラスすれば、さらにワインとの相性はアップします。

あまり知られていないのが、赤身の魚とも相性が良いこと。特に、旨みや出汁感のある旧世界のピノ・ノワールとマグロは、驚くほど素晴らしいペアリングを見せてくれ、「お鮨×ピノ・ノワール」は、ワイン通の間で定説になってきています。魚と赤ワインは合わない… そう思っている方も、ぜひお試しください♪

■若々しく果実味のあるワインには・・・
ローストビーフ、鴨肉のロースト、牛肉の赤ワイン煮込み、キノコのリゾット、鴨南蛮、焼き鳥

■熟成した複雑味のあるワインには・・・
牛フィレ肉のステーキ、ジビエ、トリュフ料理、熟成チーズ、お鮨、カツオのたたき、マグロの漬け、西京焼き

★ポイント★
若いか熟成しているかよりも、フルーティーなのか? アーシーなのか? 出汁感があるのか? でペアリングを考えるのがオススメ。 同じ食材でも、ソースや調理法を変えることで、どちらにも寄り添うことができます。
相性が悪いのは、濃厚でリッチな風味の料理。ワインの繊細さが、料理に負けてしまいます。また、酸が高い品種なので、デザートなど甘味の強い料理と合わせると、ワインが酸っぱく感じてしまうこともあり、注意が必要です。

ワインテイスティング



ルイ・ラトゥール ブルゴーニュ ピノ・ノワール
Louis Latour Bourgogne Pinot Noir 2021

1731年の創業以来、ブルゴーニュで家族経営を守り続け、今ではコート・ドール最大規模のグラン・クリュ畑を所有するブルゴーニュ屈指の造り手「ルイ・ラトゥール」。そんな彼らが造る、教科書のようなピノ・ノワールがこちら。

ブルゴーニュ全土のピノ・ノワールから選別した、典型的なブルゴーニュワインの秀作。粘土石灰質土壌で育った平均樹齢25年のピノ・ノワールを丁寧に手摘みで収穫し、伝統的な開放型大樽で発酵。ラズベリーやレッドチェリーを思わせる芳醇な果実の香りに、なめらかなタンニン、ミネラルの香りが見事に調和しています。

産 地:フランス ブルゴーニュ地方
品 種:ピノ・ノワール100%
醸 造:ステンレスタンクにて10~12ヵ月熟成
Alc.度:12.5%
参考小売価格:3,300円
Importer:アサヒビール

Tomoe:
赤系ベリーにバラの香り、わずかに感じられる土や鉄のニュアンス、酸とタンニンのバランスが良く、チャーミングかつ繊細でエレガント。まさに典型的なピノ・ノワールです♪ ブルゴーニュ、しかもルイ・ラトゥールのワインがこの価格で手に入るなんて!! 旨みや出汁感もあるので、優しい和食や鴨鍋とぜひ合わせたい♡




ニールソン サンタ・バーバラ ピノ・ノワール
Nielson Santa Barbara Pinot Noir 2020

カリフォルニア州サンタ・バーバラに位置する「ニールソン」は、1964年に初めてこの地にブドウの樹を植えた、ウリエル・ニールソンの名前にちなんだワイナリー。冷涼な気候で、ブドウ栽培には向かないと考えられていたサンタ・バーバラですが、ピノ・ノワールやシャルドネの栽培に成功。それ以降、ワイン産地として根づいてきました。

日照時間が長いため、果実味がしっかりと感じられ、フレンチオークで12カ月熟成させていることから、樽のニュアンスも感じ取ることができます。それでいて、冷涼産地ならではのきれいな酸もあり、かつての甘くて樽香たっぷりだったカリフォルニア ピノ・ノワールとはスタイルが変わってきていることを実感する、バランスの取れた美味しい1本!

産 地:アメリカ カリフォルニア州 サンタ・バーバラ
品 種:ピノ・ノワール100%
醸 造:フレンチオーク樽(新樽5%)にて12カ月熟成
Alc.度:13.9%
参考小売価格:4,500円
Importer:ファインズ

haruna:
今回飲み比べた中で1番果実感が強かったのが、このカリフォルニア。ラズベリー、クランベリーのような赤系果実の香り、味わいがしっかり感じ取れました。太陽の光をたっぷり浴びている影響で、熟した果実の甘味が取れるのも、このワインの特徴。ニューワールドらしいピノ・ノワールながら、エリアの特徴を生かすため、樽のニュアンスは控えめ。E-TOMOメンバーの中で今回1番人気がこのワイン!!




フォリス ピノ・ノワール ログ・ヴァレー
Foris Pinot Noir Rogue Valley 2021

フォリスのあるログ・ヴァレーは、オレゴン州の最南端にあるAVA。カリフォルニア州との州境に11kmほどと近く、標高は450~480m。冬は雪が積もる寒冷地ながら、夏の日中は気温が高くて日照量が豊富、雨が少なく乾燥した気候に加え、成長期~成熟期にかけての日較差が大きいのも、ブドウ栽培に最適なエリアです。

冷涼なウィラメット・ヴァレーに比べ、気温が高くなることから、より果実感の厚みがある芳醇な味わいとなり、アーシーな要素よりも濃厚な黒系果実感が顕著に出るのが特徴。マイナー産地ながら、ウィラメット・ヴァレーだけがオレゴンではない!! そう思わせる圧倒的なクオリティーとコスパで、航空会社のビジネスクラスラウンジにも採用された、オススメのオレゴンピノです。

産 地:アメリカ オレゴン州 ログ・ヴァレーAVA
品 種:ピノ・ノワール100%
醸 造:フレンチオーク樽(古樽)にて10ヵ月熟成
Alc.度:13~14%
参考小売価格:2,950円
Importer:モトックス

Tomoe:
ログ・ヴァレーAVAのピノ・ノワールは初めて飲みましたが、ウィラメット・ヴァレーよりだいぶ南に位置しながら、標高が高く、豊富な日照量と日較差のおかげで、オレゴンらしいきれいな香りと味わいに、フルーティー&フローラルな華やかさがプラス。個人的にはテイスティングした6本の中で、こちらがナンバーワン!! コスパも抜群によく、美味しくてスルスル飲めてしまう、ぜひ皆様に味わっていただきたいイチオシピノです♡




クランプ ギプスコイパ― シュペートブルグンダー
Klump Gipskeuper Spatburgunder 2020

1983年にクランプ夫妻により創業。現在は、長男のマルクス氏が醸造責任者、次男アンドレアス氏が栽培責任者を務める、家族経営のワイナリー。オーガニックなワイン造りを通じて、個性を表現することに情熱を注いでいます。エコヴィン、ユーロリーフのオーガニック認証を取得。

赤系果実のニュアンスが多いピノ・ノワールですが、このワインは、日照量の多い高台で、日中は暑く、夜間は涼しい地域で栽培されているため、ブルーベリーやカシスなど黒系果実のニュアンスも取れるのが特徴です。2~4年目のフレンチオーク樽で14カ月熟成させ、果実のニュアンスをオークでバランスよく引き立てています。

産 地:ドイツ
品 種:シュペートブルグンダー100%
醸 造:フレンチオーク樽にて14ヵ月熟成
Alc.度:13.0%
参考小売価格:4,200円
Importer:エノテカ

haruna:
ピノ・ノワールにしては色が濃く、味わいも黒系果実が取れる珍しいワイン! 今回の中で、ドイツが一番色調が濃かったのは驚きですが、丸みのある落ち着いた味わいは、やはりニューワールドのピノ・ノワールとは違ったので、その印象を大事にするとよいでしょう。タンニンもしっかり感じられるので、ビーフシチューのようなお料理と相性が良さそう♪




クラウディ・ベイ ピノ・ノワール
Cloudy Bay Pinot Noir 2020

クラウディ・ベイは、1985年にニュージーランド南島の北端にあるマールボロに設立されたワイナリー。冷涼なマールボロ サザン・ヴァレー地域の粘土質土壌と、なだらかな北向き斜面は、水はけと保水性のバランスを保ち、日照をたっぷりと確保するために垣根仕立てで育てることにより、最高品質のピノ・ノワールを生み出します。

クラウディ・ベイで造られる唯一の赤ワインは、濃厚なチェリーやラズベリーのアロマに、繊細な花やスパイス、上質でシルクのようなタンニンとジューシーな酸味がエレガント。樽由来のスモーキーな風味がワインに複雑味を与え、ピュアさと複雑さを兼ね備えた、高品質なピノ・ノワールです。

産 地:ニュージーランド マールボロ
品 種:ピノ・ノワール100%
醸 造:フレンチオーク樽(新樽30%)にて11ヵ月熟成
Alc.度:14%
参考小売価格:5,050円
Importer:MHDモエヘネシーディアジオ

ユメコ:
今回試飲した中で一番複雑味を感じたワインでした。クリーンで透明感がありながら、アルコールも13.9%と高く、少しの苦みとスモーキーな香りが非常に特徴的。アーシーで複雑味のある力強い味わいなので、ジビエ料理と合わせるのも良さそう。今飲んでも熟成させても美味しいワインです♪




アルボレダ ピノ・ノワール
Arboleda Pinot Noir 2021

アルボレダは、チリの名門・エラスリスの5代目当主 エデュアルド・チャドウィックと、カリフォルニアのロバート・モンダヴィにより誕生した、チリのブティックワイン。ブランド名の「アルボレダ」は、スペイン語で「木立(こだち)」を意味し、ワイナリーにある天然の木がモチーフとなっています。

ブドウの栽培地を自社エステートの単一畑に集約・限定。収量を抑えて凝縮させたブドウを丁寧に手摘み。産地はフンボルト海流の影響で非常に冷涼で、しっかりと熟成しながらも、高い酸を保ったブドウが栽培されています。

産 地:チリ アコンカグア・コスタ
品 種:ピノ・ノワール100%
醸 造:フレンチオーク樽(新樽15%)にて11ヵ月熟成
Alc.度:13.5%
参考小売価格:2,508円
Importer:アサヒビール

ユメコ:
とってもチャーミングなニューワールドらしい果実の香りですが、一口含むと酸がしっかり感じられます。ブドウが栽培されているチルエ・ヴィンヤードは、冷涼な風がブドウ畑を吹き抜け、しっかりとした酸を保ったブドウができるため、このような味わいに。色合いは明るいチェリーレッド。甘やかなチェリーの香りに加え、ややアーシーな香りもあり、口当たりはなめらかで優しく、それでいてワイルドな野性味も感じることができるワインです。

今回のポイント

色調の違い

・基本は、輝きのある淡いルピー/ラズベリーレッド
・冷涼産地であるほど、色は淡い
・温暖産地でブドウが熟すと、色が濃くなる
・アルコールが高いもしくは糖度が高いと、粘性が強くなる
・熟成すると、オレンジがかってくる

色調が濃いのは、左から④ドイツと⑤ニュージーランド。
かつて色が濃く力強いピノ・ノワールが主流だった ②カリフォルニア ⑥チリが、近年は冷涼産地で栽培しているため色調が淡く、外観で産地まで予測することは難しいことが分かります。


香り&味わいの違い

・赤系果実とスミレやバラの香り、高い酸、きめ細かなタンニンは、各国共通
・旧世界は、果実味・酸・タンニンがバランスよく調和し、繊細でエレガント
・新世界は、太陽をたっぷり浴びたブドウの熟度を感じる
・新世界でも冷涼産地のワインは、酸が一層際立つ
・冷涼産地は、土っぽいアーシーなニュアンスが高まる
・温暖産地は、果実+フローラルで華やかさが増す

ピノ・ノワール伝統国であるドイツが、温暖産地で力強さを求めたのに対し、クールクライメイトを求めて冷涼産地の開拓に力を注ぐ新世界。味わいにも逆転現象が見られたことに面白さを感じた、今回のテイスティング。
テロワールを反映する品種なだけに、同じ生産国であっても、産地や生産者によってスタイルも大きく変わることに、注意が必要です。

■フランス:繊細でエレガントだが、品質向上目覚ましい新世界と価格帯を合わせると、物足りなさは否めない
■カリフォルニア:かつての濃くて甘いPNを期待すると、驚くほどフランス風だが、果実感はやはり強め
■オレゴン:ブルゴーニュとカリフォルニアの中間といわれるが、今回は温暖産地でフルーティー&フローラル
■ドイツ:淡くてライトな赤ワインのイメージから一転、今回一番色調が濃く、黒系果実の香りも
■ニュージーランド:通常オレゴンに近いスタイルだが、温暖なマールボロは香り・味わい共に力強さを感じる
■チリ:海側の冷涼産地由来の酸とミネラルに加え、野性的なハーブの香りは、前回のCSにも感じられた


★グラスにこだわってワインを楽しもう★

皆様はワインを嗜む時、ワイングラスにこだわっていますか? ワイングラスならどれも同じ、そう思ってはいませんか? ワインにはそれぞれ個性があるように、グラスを変えるだけで、ワインは格段に美味しくなるのです。

グラスメーカー各社から販売されている、各種ワイン、さらには、各ブドウ品種用に開発されたワイングラス。まずはスパークリングワイン用、白ワイン用、赤ワイン用の基本3種を揃えたら、次は少しこだわって、ワインをもう少し楽しむために、特別なグラスを買ってみるのもオススメです。

今回は、ピノ・ノワールのための “ブルゴーニュグラス” をご紹介。

赤ワイン全般に使われるボルドーグラスより、横に広がったバルーン型のブルゴーニュグラス。
大きく膨らんだボウルは、空気に触れやすくすることでワインの香りを開かせ、その繊細な香りをより長く留めておけるよう口をすぼませたのが、このグラスの形状。ボウルいっぱいに広がった官能的でエレガントなピノ・ノワールの華やかな香りは、グラスを傾けるたびに、香りが口へと流れ、口から鼻へと抜けていきます。

幅広で収納スペースを取るため、なかなか数を揃えるのは難しいかもしれません。それでも、ワンランク上のグラスで飲むワインは、美味しさがUPするだけでなく、ワインをよりリッチで、特別なものにしてくれます。
とっておきのピノ・ノワールを楽しむために、ぜひ1脚からでも購入してみてはいかがでしょうか?

©CRAFT STORE:木村硝子 ギャルソン 24oz