E-TOMO Tasting Navi No.3

2023年02月27日

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シャルドネ Chardonnay

E-TOMO Tasting Navi 第3回は、世界中で愛される「白ワインの女王」シャルドネ。ワインに詳しくなくても、その名を耳にしたことはあるでしょう。シャルドネとは、どんなワインなのでしょうか?

起源

フランス ブルゴーニュ地方原産とされる白ワイン用ブドウ。
かつては、レバノンやシリアから十字軍がヨーロッパに持ち帰ったという中近東起源説が有力とされていたが、1990年代末にカリフォルニア大学デービス校によるDNA研究により、シャルドネはピノ・ノワールとグーエ・ブラン(Gouais Blanc)の交配から生まれたと判明。

グーエ・ブランは、ローマ人がクロアチアから持ち込んだと考えられており、フランス東部の農民によって広く栽培。アリゴテやミュスカデ、ガメイ、ブラウフレンキッシュといった多くのブドウの先祖として知られるこのグーエ・ブランは、別名ホイニッシュ (Heunisch) と呼ばれ、リースリングの片親でもあることは、前回ご紹介しました。

シャルドネの名は、ブルゴーニュ地方マコネ地区にある「Chardonnay(シャルドネ)」という小さな村に由来するといわれ、ラテン語の “Cardonnacum” = “Chardon(アザミ)の咲く場所” を意味しています。

特徴

■ブドウ
房は小さめから中程度、黄金色をした果皮に、果粒は小さく、葉は丸くて裂方間の切り込みが浅いのが特徴。ブルゴーニュ地方原産とされているが、現在では世界中のワインを生産するあらゆる場所で栽培。
天候による変動があまりなく、多様な気候や土壌に適合し、高い品質と安定した収量を両立、病害にも強いため、誰でもどこでも栽培できる品種だが、粘土質、石灰質の土地と、温暖な気候で栽培するのが理想的。
非常に「柔順」な品種のため、テロワールとワインメーカーの印象を色濃く反映することができます。某ワインスクール講師の言葉を借りると “あなた色に染まるブドウ” なのだとか(笑)

■香り
ソーヴィニヨン・ブランやリースリングのように、その品種を特徴づける個性的な香りのない「ニュートラル」品種。そのため「誰にも嫌われない白ワイン」として世界中で愛され、世界のワイン生産国・消費国で、シャルドネのない国はないと言っていいでしょう。
その香りの多くは、テロワールやオーク樽に由来。フランスのシャブリに代表される爽やかでミネラリーなワインから、ニューワールドのオークやトロピカルフルーツの風味を持つリッチなワインまで、様々なスタイルで造られます。
冷涼な産地では、酸が際立ち、柑橘やリンゴ、洋梨の香り。温暖な産地では、桃やメロン、さらにはパイナップルやマンゴーといったトロピカルフルーツの香りも。マロラクティック発酵(MLF)が行われると、酸味と果実味が柔らかく、バターのようなクリーミーさとヘーゼルナッツの香りを持つ傾向にあり、オーク樽を使用したものは、バニラやココナッツの香りが感じられます。

★MLF (malolactic fermentation) とは★
乳酸菌の働きによって、リンゴ酸が乳酸へと変化、酸が丸くなり、味わいもまろやかになる醸造工程。バターやチーズ、ヘーゼルナッツのような香りや、香りに複雑さを与え、微生物的にも安定してワインを熟成させられる効果も。


■スタイル
シャルドネワインには、大きく分けて2つの異なるスタイルがあります。

Unoaked:樽熟成していないワイン。無駄のないミネラリーでドライな味わいが特徴。
収穫時のブドウの熟度によって、レモンや青リンゴからパイナップルやイチジクまで、様々な風味。ソーヴィニヨン・ブランやピノ・グリの辛口スタイルに近いが、ソーヴィニヨン・ブランよりも「青い香りが少ない」傾向にある。
多くは冷涼な産地で生産。カリフォルニア州(ソノマ・コースト)、西オーストラリア州、フランス(シャブリ、ロワール)、チリ(カサブランカ・ヴァレー、コルチャグア・ヴァレー)、オレゴン州など。

Oaked:オーク樽で熟成させたワイン。クリーミーでリッチ、フルボディのクラシックスタイル。
バニラ、バター、キャラメルなどのフレーバーに、温暖な気候では、よりトロピカルフルーツの風味。
多くは温暖な産地で生産。フランス(ブルゴーニュ)、カリフォルニア州(ナパ・ヴァレー、パソロブレス)、オーストラリア(南部、東部)、アルゼンチン(メンドーサ)、イタリア(トスカーナ州)など。

代表的な産地

フランス

フランス全土で栽培されているシャルドネ。ブルゴーニュ地方とシャンパーニュ地方が2大産地。冷涼なジュラ・サヴォワ地方、ロワール地方、アルザス地方では軽めのワイン、南部のラングドック・ルーション地方では、新世界スタイルに近いリッチなワインが造られています。

■ブルゴーニュ地方
世界を代表するシャルドネの銘醸地。ブルゴーニュ地方最北端にあり、鋭角な酸と強いミネラル風味が特徴のシャブリと、豊潤さとフィネスを兼ね備えた最上級のシャルドネが造られるコート・ド・ボーヌが主な産地。中でも、コート・ド・ボーヌのムルソー、ピュリニー・モンラッシェ、シャサーニュ・モンラッシェの3村には、世界最高峰の白ワインを産出する畑が並びます。

■シャンパーニュ地方
言わずと知れた世界最高峰のスパークリングワイン産地。主にシャンパーニュ用のシャルドネが栽培され、コート・デ・ブランが中心。ピノ・ノワールやムニエといった黒ブドウ品種とブレンドされることが多いものの、シャルドネ100%で造られるシャンパーニュは「ブラン・ド・ブラン」と呼ばれ、シャルドネのピュアで繊細な味わいが堪能できます。


アメリカ

世界第4位のワイン生産量を誇るアメリカ。その中で80%の生産量を占める圧倒的なワイン産地がカリフォルニア州。その他、ワシントン州、オレゴン州、ニューヨーク州でも盛んに栽培、近年は冷涼地ならではの上品なシャルドネが多く見られます。

■カリフォルニア州
カベルネ・ソーヴィニヨンと並んで栽培面積が広いのがシャルドネ。同州だけでフランス全土の栽培面積に匹敵。ナパ・ヴァレー、ソノマ・カウンティの冷涼エリアや、モントレー、サンタ・バーバラでは高級ワイン、セントラル・ヴァレーでは低価格帯ワイン用のブドウが多く栽培。

カリフォルニアワインといえば、アメリカンオークを使用したリッチでクリーミーなワインのイメージですが、1990年代以降、オーキーでリッチなシャルドネに飽きたワイン愛好家から “ABC=Anything But Chardonnay” という言葉が飛び交うように。また、第2次フィロキセラ禍以降、ブルゴーニュの気候に近い冷涼なエリアにて多く栽培されるようになったことから、昨今はエレガントなブルゴーニュスタイルのシャルドネも多く造られています。

カリフォルニアのウェンテ・ヴィンヤーズは、1912年にブルゴーニュのシャルドネをクローン化、そのクローンは「ウェンテ・クローン」と呼ばれ、現在アメリカで栽培されるシャルドネの80%近くが元を辿るとこのクローンだとか。


チリ

輸出市場向けの低価格ヴァラエタル・ワインが大量に生産されているチリ。シャルドネ栽培面積は、白ブドウではソーヴィニヨン・ブランに次いで第2位。近年では「適地適品種」を合言葉に、風土の特性を反映したプレミアムチリワインの生産にも力を入れています。

■カサブランカ・ヴァレー
チリで最も注目されている冷涼産地。南極からペルー沖に向かって上昇する寒流・フンボルト海流により、冷たい海風の影響を強く受ける海沿いの産地で、内陸より最大1ヵ月長い生育期を確保。この長い生育期間のおかげで、ブドウは酸をしっかり保持したまま完熟することができ、クリスピーな酸とミネラル、複雑な香りと味わいを兼ね備えた高品質なシャルドネが造られています。

■コルチャグア・ヴァレー
カサブランカ・ヴァレーに次ぐ注目産地。伝統的にはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなど赤ワインが多く造られている産地で、平野部は肥沃、山麓に近づくにつれて土壌は痩せ、丘陵地帯で栽培されるブドウは厳しい条件の中で味わいが凝縮。この地区で栽培されたブドウから造られるプレミアムワインは「第2のナパ・ヴァレー」として期待されています。近年はブドウ畑が冷涼な沿岸部に広がり、冷涼気候を好む品種の栽培も増加中。


オーストラリア

低価格から超高級品まで幅広い価格のワインを生産しているオーストラリア。これまでは Yellow Tail や Jacob’s Creek に代表される、複数の州で収穫されたブドウをブレンドした大量生産ワインのイメージが強かったのが、昨今は輸出市場向けの新たな戦略として、それぞれの地域のテロワールを表現したワインも多く造られるように。

シャルドネの栽培面積は全品種中、シラーに次いで第2位。冷涼な気候による繊細なヤラ・ヴァレー、複雑味と凝縮感を持つマーガレット・リヴァー、肉付き豊かなハンター・ヴァレーが注目産地。冷涼な産地では、爽やかな柑橘系の風味 、温暖な産地では、トロピカルフルーツ系の香りと濃厚な味わいを感じることができます。


日本

日本におけるシャルドネ栽培量は1,432トンで、ブドウ全体では6.5%、白ブドウでは甲州、ナイアガラに次いで第3位。主要産地は、1位:長野県、2位:山形県、3位:兵庫県 となっています。(2021年国税庁調べ)

日本において、本格的なシャルドネの栽培が始まったのは1980年代。最も生産量の多い長野県は、2000年以降、栽培面積は3倍以上に! 仕立ては垣根仕立てが主流で、雨の多い日本の風土から、フランスのそれらと比べると背が高いことが多い。一文字型短梢、H字型短梢などの棚仕立ても見られます。テロワールを反映しやすいブドウということもあり、他国に比べ、香りや味わいがデリケートなものが多く、中には日本酒に近い香りや味わいが感じられるものも。


その他

イタリア(トスカーナ州、ロンバルディア州、プーリア州)、ニュージーランド(ギズボーン、ホークス・ベイ、マルボロ)、南アフリカ(ステレンボッシュ、ロバートソン、ウォーカーベイ)など世界各地で栽培。

フードペアリング

■若々しくてフレッシュなライトボディには・・・
樽を使わないキリっとしたミネラル感や繊細な味わいのシャルドネは、牡蠣などの新鮮な魚介類、お寿司、カルパッチョ、パテ、野菜料理、イカの天ぷらやフリット、白身魚のソテーなど。シャンパーニュは、基本こちらに分類。

■木樽を使ったフルボディには・・・
リッチでクリーミーなシャルドネには、クラブケーキ、レモンクリームパスタ、グリルした魚介、サーモン、チキンやポークなどの肉料理。サイドには、コーンやポテト、カボチャなど、でんぷん質の多い野菜やキノコ類がオススメ。

★ポイント★
ワインのボリュームと合わせるのがベアリングのコツ。バターやミルキーなニュアンスとテクスチャーが特徴なので、クリーミーな料理との相性は◎! 家庭料理ならマカロニグラタンや、チキンのクリーム煮、バターをたっぷり使ったポップコーンにもオススメ。

ワインテイスティング



ドメーヌ・セギエ・ボルデ シャブリ
Domaine Seguinot-Bordet Chablis 2021

シャブリの北の玄関口であるマリニー村を拠点とする家族経営のドメーヌ。その歴史は400年以上と、シャブリでも最も古い歴史を持ち、現当主は13代目のジャン・フランソワ ボルデ氏。
遅く収穫した熟度の高いブドウを使用しているのが特徴。2002年に近代的な醸造施設を建設、シャブリらしいミネラルや酸に加え、この完熟ブドウから生まれるアロマの複雑さや果実味の豊かさを表現するワイン造りを行っています。

ドメーヌを代表するこのワインは、長いデブルバージュによって不純物をしっかり沈殿させ、透き通った果汁を使用。旨味を引き出す横型タンクによるシュールリー熟成で、アロマ豊かで複雑味、丸みのある仕上がりに。アンモナイトの化石のエチケットが印象的!

産 地:フランス ブルゴーニュ地方 シャブリ
品 種:シャルドネ100%
醸 造:横型タンク熟成
Alc.度:12.5%
参考小売価格:4,290円
Importer:ファインズ

ミズナ:
第1アロマはスイカズラなど白い小さなお花のようでありながら、レモンのような若々しいフレッシュな香り。口に含んだ瞬間、溌剌とした爽やかで心地良い酸味が駆け巡ります。シャブリらしいミネラル感と、柑橘中心のエレガントな果実味は、ザ・王道シャブリ! 試験に出たら、自信を持って解答したいワインです。シュールリーによる旨味は少々塩っぽさも感じられるので、定番ながら、やっぱり塩でいただく天ぷらと合わせたい!




ルイ・ラトゥール グラン・アルデッシュ シャルドネ
Louis Latour Grand Ardeche Chardonnay 2020

ルイ・ラトゥール社は200年以上も続く家族経営のブルゴーニュを代表する造り手。ブルゴーニュ2大白ワインの1つといわれる「コルトン・シャルルマーニュ」の生みの親であり、白ワインはシャルドネを使用した高品質のワインを多く造り出しています。

「グラン・アルデッシュ」は、アルデッシュの石灰岩土壌から生まれた最高品質のシャルドネをオーク樽で約10カ月熟成。トースト、バニラ、アカシアの花の豊かな香り、豊かで深みのあるエレガントな味わいのワインです。まろやかな味わいの最後にアーモンドが感じられ、余韻は長く続きます。

産 地:フランス ブルゴーニュ地方
品 種:シャルドネ100%
醸 造:伝統的木樽発酵(100%MLF)、
    木樽熟成(8~10ヵ月、20%新樽)
Alc.度:13.5%
参考小売価格:2,538円
Importer:アサヒビール

haruna:
樽の香りを感じ取れたら、まずはシャルドネだと予想しましょう! ニューワールドは太陽をたっぷり浴び、果実味が凝縮した味わいの傾向にあるので、果実味控えめでエレガントな造りをしているものは、フランスなど伝統国の可能性が高いです。このグラン・アルディッシュ・シャルドネは、まさに樽熟成と地域の特徴を模範のように表したワインです♪




ベリンジャー ファウンダーズエステート シャルドネ
Beringer Founder’s Estate Chardonnay 2021

カリフォルニアで最も高品質なワインで有名なナパ・ヴァレーにおいて、140年以上もワインを造り続けているナパ最古のワイナリーの1つ、ベリンジャー。ブドウの植え付けから完熟まで、自社で徹底管理しているため、高品質なワインが造られており、世界で初めて赤白両方で「ワインスペクテーター」誌の “ワイン・オブ・ザ・イヤー” を受賞。

ファウンダース・エステートは、ベリンジャーのハウスワインスタイルともいえるシリーズ。シャルドネの栽培に適したノースコースト、セントラルコーストやデルタ地区の畑のブドウを主に使用。十分な日光を浴び、海からの冷たい風でバランスを取った良質なブドウから、リンゴや洋なし、トロピカルフルーツのアロマに、クリーミーな味わいが融合したワインが造られています。

産 地:アメリカ カリフォルニア州 ナパ・ヴァレー
品 種:シャルドネ100%
醸 造:フレンチオーク樽で4ヵ月熟成
Alc.度:14%
参考小売価格:2,008円
Importer:サッポロビール

ユメコ:
いわゆる典型邸なアメリカの樽香たっぷりのシャルドネを期待して飲むと、あれ? と思うほどすっきりきれいで爽やかなシャルドネ。近年のブルゴーニュスタイルの波がベリンジャーにも押し寄せているのかもしれません。香りは控えめながら、カリフォルニアらしいジューシーな果肉感やしっかりとした厚みも感じます。太陽をたっぷり浴びて育ったトマト料理をはじめ、前菜からメインまで幅広く合わせられる万能な1本です♪




ベサ ガンマ オーガニック シャルドネ レセルバ
V.E.S.A Gamma Chardonnay Reserva 2022

有機ブドウを使用したチリ最大規模の自然派ワイナリー「ベサ」。化学薬品を一切使用せず、ビオディナミ農法やサステイナブル農法を取り入れ、テロワールを重視したブドウ栽培によって、チリならではのバランスのいい高品質なワインが造られています。

こちらは、柑橘やトロピカルフルーツに、ほのかにナッツのフレーバーも感じられる、フレッシュで洗練された口当たりが特徴のエレガントなシャルドネ。単なるオーガニック栽培ブドウを使用したワインという枠を越えた、チリワインの醍醐味を表現するコスパ抜群のワインです!

産 地:チリ カサブランカ・ヴァレー
品 種:シャルドネ100%
醸 造:ステンレスタンク熟成
    10%のみフレンチオーク樽熟成3ヵ月
Alc.度:13.5%
参考小売価格:1,500円
Importer:モトックス

ユメコ:
しっかりと熟したブドウを使用しているため、蜜リンゴやキャンディのような甘いアロマながら、口に含むと冷涼産地特有のしっかりとした酸を感じます。余韻には程良い苦みを感じ、香りとのギャップに驚くワインです。海岸沿いでブドウが栽培されており、程よいミネラル感も感じるため、海の幸と合わせるのがオススメ! ぜひガーリックシュリンプと合わせたい♪




アンドリュー・ピース ワインメーカーズ・ノート シャルドネ
Andrew Peare Batch 106 Winemakers Note Chardonnay 2021

オーストラリアの南東、ヴィクトリア州に位置するアンドリュー・ピース。オーストラリア最長のマレー川岸にある畑でブドウが栽培されています。

こちらは「SAKURA AWARD」や「日本で飲もう最高のワイン」において、数々の受賞を誇るワイン。白桃やネクタリン、アプリコット、パッションフルーツを思わせる香り。柔らかく親しみやすい酸味で、はっきりとした果実味が感じられる、ニューワールドを象徴するシャルドネの1つです。

産 地:オーストラリア ヴィクトリア州
品 種:シャルドネ100%
醸 造:ステンレスタンク発酵
Alc.度:13%
参考小売価格:1,380円
Importer:GRN

haruna:
しっかりと感じられる果実味ながら、香りは控えめ。ニュートラル品種であるシャルドネだと予想してみましょう。日光量の多いニューワールドで造られるシャルドネの中でも、オーストラリア産はフレッシュでクリーンな造りの物が多いかも?! このシャルドネは雑味がまったくくなく、ピンクグレープフルーツのような果汁感が感じられる、とてもキレイなワインです♪



グランポレール 長野 シャルドネ
Grande Polaire Nagano Chardonnay 2020

サッポロビール社が手掛けるワイナリー、グランポレール。日本の「美しさ」を凝縮したワインを世界に届けようと、北海道、長野、山梨、岡山の4つの産地で栽培し、厳選したブドウを使用。
長野県は、日較差が大きいため、ブドウに酸がよく残り、痩せた水はけの良い土壌は、凝縮感のあるブドウを育みます。ヨーロッパの産地に似た恵まれた気候風土は、まさにフランス系品種を栽培する最適地。シャルドネの他、カベルネ・ソーヴィニヨンも栽培されています。

こちらは、果実味豊かでフレッシュなブドウを使用し、柑橘やパイナップルを想わせる香りと豊かな酸味が特長の、キレのある辛口ワインに仕上がっています。

産 地:日本 長野県
品 種:シャルドネ100%
醸 造:タンク熟成、一部木樽熟成
Alc.度:12%
参考小売価格:2,308円
Importer:サッポロビール

ミズナ:
他のシャルドネとは一風変わった、酵母の強い香りが印象的。ライチやキンモクセイのようにも感じられる複雑味のある香りに、口に含むと、なめらかな酸味と穏やかな苦み。全体的にまろやかで厚みのある、ニュートラルな味わいです。日本産のシャルドネの中でも特に酵母の香りが強く、日本酒の「吟醸香」に近い香りがあるため、おでんや煮物などの温かい和食に合わせて外国の方にもぜひ振舞いたい!

今回のポイント

色調の違い

今回は色調の違いが見られないため、色調で判別するのはほぼ不可能。
6種類とも、輝きのある外観に、やや淡いレモンイエロー色。
粘性の強さで、冷涼か温暖か、樽なしか有りかを見分けられることも。

・冷涼地で酸が高く、フレッシュな若いワインは、輝きが強くなる
・温暖地でブドウが熟し、アルコールが高くなると、イエローの色味が強くなる
・木樽の有無:Unoakedよりもoakedのが色が濃く、粘性も高くなる傾向にある
・グリーンの色調は、冷涼地でもほとんどなし


香り&味わいの違い

樽使いの有無を嗅ぎ分けることが重要なポイント。
テロワールの特性が現れやすいので、旧世界か新世界かも感じ取りましょう。

・シャルドネ自体はニュートラルで「特徴がない」のが特徴
・伝統的な造りで複雑なのは旧世界、きれいでクリーンなのは新世界
・ミルキーな香りや味わいを感じたら、MLFしているシャルドネを疑うべし!

■シャブリ:レモンなどの柑橘に圧倒的な酸とミネラル、樽なしが主流
■ブルゴーニュ:華やかでエレガント、長く続く余韻は、さすが銘醸地
■アメリカ:樽が主流、ライトボディでも太陽をたっぷり浴びた豊かな果実味
■チリ:甘い果実香に対し辛口なのは、冷涼でも日照量多くブドウが熟すため
■オーストラリア:リースリング同様フレッシュでクリーンな味わいが多い
■日本:繊細な味わいの中に、どこか日本のテロワールを感じるはず!


★テイスティングのコツ★

外観 ⇒ 香り ⇒ 味わいの順に
ワインテイスティングとは、その名の通り、飲んで味わうものですが、どのようなワインなのかは、外観にも、香りにもたくさんのヒントがあります。特にシャルドネのように品種特性がなく、バラエティーに富んだワインの場合は、ワインが事前に与えてくれる情報を掴むことが大切です。

・若いワイン? それとも熟成したワイン?
・アルコールは低め? 高め?
・産地は冷涼? 温暖?
・木樽を使ってる? 使ってない?
・味わいは辛口? それとも甘口?

各種資格試験やコンクールでも、すべて「外観 ⇒ 香り ⇒ 味わい」の順番でテイスティングしていきますので、ぜひその習慣をつけていきましょう。

日常的にワインを楽しむ際も、色調や香りから、これはどんなワインなのかな? と予想しながら飲むのも、新たなワインの世界が広がって楽しいので、ぜひお試しください(^^)

画像:2022年 日本ソムリエ協会 呼称資格認定試験 テイスティング用語選択用紙