E-TOMO 繁昌Navi No.43

2022年11月16日

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E-TOMO繁昌Navi No.43

こんにちは! E-TOMO です。

秋も深まり、東京でも木々が色づき始めました。皆様はどのような秋をお過ごしでしょうか。

先週、11月8日には、442年ぶりに「皆既月食+惑星食」が見られるというニュースに日本中が沸きました。
442年前はなんと戦国時代! 織田信長も見たかもしれない天体ショーは、次回は322年後の2344年7月とのこと。

過去や未来に思いを馳せながら、空を見上げて月を眺める、そんな秋の夜長も良いものですね♪

『E-TOMO定点観測 ~日本酒ができるまで~』その3

さて、1年近くかけて、お酒にまつわる “定点観測取材“ を行う「E-TOMO定点観測」。
前回は、元気にすくすくと育ち、青々とした稲の様子をレポートしました。

過去記事はこちら:
E-TOMO繁昌Navi No.39『E-TOMO定点観測 ~日本酒ができるまで~』①田植え
E-TOMO繁昌Navi No.41『E-TOMO定点観測 ~日本酒ができるまで~』②出穂

第3回は、いよいよ稲たちの収穫です!

定点観測 ③ 収穫

9月末のある日、E-TOMO取材班は収穫期を迎えた田んぼを見に、長野県上水内郡信濃町へ。
午前中からパラついていた小雨は、午後には止み、雲の合間から青空がちらちら顔を覗かせるように。
9月にして朝の気温は10℃と、コートがいるほど。東京よりやはり10℃ほど低い気温差です。

到着後、5月より観測を行っている「荒瀬原(あらせばら)地区」へ早速行ってみると...

辺りはすっかり一面黄金色に!!

あいにくの曇り空で、黒姫山を望むことはできませんでしたが、雨が止んだだけでも上等♪

すでに収穫期を迎えており、本来なら訪問した日に稲刈りが行われる予定が、直近に到来した台風の影響と、当日の小雨模様で、急遽収穫は延期に。稲刈りの様子をこの目で見ることができず残念...

こちらが5月と8月の同じ田んぼ。

5月末
8月頭

近くで見ると、お米がこんなにたわわに実っています! 重くて穂がお辞儀をしていますね♪

「山恵錦(さんけいにしき)」の特徴のひとつが、この穂先の長い芒(のぎ)。

籾の殻を剥くと、中にはお米がー! 玄米です♪

高橋助作酒造店の高橋邦芳社長によると、この玄米を味わってみると、噛んだ時のお米のミネラル感や香ばしさで、その品種や作柄などの特徴が感じられ、玄米の様子がより分かるのだとか。
プロでなければ分からない微かな違いかもしれませんが、日々ワインテイスティングでブドウ品種の味わいを探求している身としては、お米の品種による味わいの違いにも興味津々! ぜひ食べ比べをしてみたいものです(笑)

稲穂には、よく見るとたくさんのイナゴが。
保護色なので、目を凝らさないと気づきませんが、あちらこちらにいるではありませんか!

イナゴは「稲子」とも書くように、稲の葉が大好物♪
大量発生してしまうと、茎や葉が食い荒らされ、お米の生育に影響が出てしまうため、駆除が必要になりますが、高橋社長が子供の頃に比べたら、数はだいぶ減ったのだとか。

今回も「荒瀬原」の様子をぜひ動画でご覧ください♡

① たわわに実った稲穂


② 黄金色の荒瀬原


③ 秋の虫の音

収穫のタイミング

9月10月は台風が多く発生するため、収穫のタイミングを見計らうことの難しさを今回改めて感じました。

山恵錦は、茎が太く背丈も低めで、倒れにくいのが特徴の品種ではありますが、直近の台風の影響で、田んぼによっては倒伏している稲も。

これらの稲は、早めのタイミングで起こしてあげるか、稲刈りをしないと、穂上の種子(籾)が発芽してしまう「穂発芽」が起こりやすくなるとのこと。 「穂発芽」は、発芽するための栄養分として、種子に蓄えられているデンプンなどの貯蔵物質が消化・分解されてしまうため、お米の品質が悪くなる恐れがあるのです。

また、穂発芽は収穫前の降雨によっても起こるため、降雨のあった日やその翌日はできる限り収穫を避け、穂が乾いた状態で稲刈りをするなど、天候を相手にする農家さんの苦労は計り知れません。

「荒瀬原」ではその後、10月3日に無事稲刈りが行われたとのこと♪

稲刈りの様子 photo by 高橋邦芳社長
すでに収穫を終えた田んぼ

稲刈り

高橋助作酒造店では、酒蔵の横に自社の田んぼを所有しており、荒瀬原と同じ「山恵錦」が栽培されています。
読者の皆様のためにと、10月2日に行われた収穫の様子を、高橋社長が撮影してくださいました!

動画 ①
稲刈り機(コンバイン)を使用し、効率的に収穫が行われています。コンバインは、稲刈り・脱穀・籾の選別・藁処理を同時に行う、優秀な農業機械♪


動画 ②
刈り取られた「稲藁」(穂先を含めた葉や茎の部分)は、稲刈り機の内部で細かく刻まれ、そのまま後方下部から水田に撒かれます。細断撒布された「稲藁」は、積雪の前に田起こしされる時などに耕運機で土の中に鋤き込まれ、肥料として土壌改良に役立つのだとか! なお、稲藁は、細断せずに束にして排出することも可能です。


動画 ③
脱穀し、機内に蓄えられた「籾」が一杯になると、アンローダで軽トラなどに排出します。



収穫された籾は、その日のうちに運搬し、乾燥機で乾燥されます。収穫から5時間以内に乾燥を始めることで、生籾の変質を防ぎ、また、乾燥させることによって固くなり、籾摺りの時に砕けにくくなるのだそう。

昔の収穫は、手作業で稲刈りをしてから、天日で乾燥させ、その後で脱穀が行われていたので、コンバインで稲刈りと脱穀を同時に行い、当日のうちに乾燥される今は、ずいぶん便利な時代になりましたね♪

収穫~酒造りに至るまで

収穫期を迎えたお米は、契約農家さんが収穫のベストタイミングを判断。

稲刈り&脱穀 ⇒ 乾燥 ⇒ 籾摺り(殻を取り除く作業)⇒ 玄米 ⇒ 選別 ⇒ 袋詰め

以上の順を辿り、袋詰めされた玄米が酒蔵に届きます。
届いた玄米は、まず等級検査に出され、その後精米され、そしていよいよ日本酒造りの開始です!

等級検査

酒造好適米は、「農産物検査法の農産物規格規定」に基づき、品位が6段階に分類されます。

整粒割合=形状が整った米粒の割合によって、
特上(90%以上)、特等(80%以上)、1等(70%以上)、2等(60%以上)、3等(45%以上)、規格外(45%未満)に分類。米質の充実度も審査され、特定名称酒に使用できるのは、3等以上のお米のみ。

一般の飯米(食べるお米)の等級分け(1等、2等、3等、規格外)よりも規定が細かくなっています。

等級は、主に玄米の見た目と水分で検査され、青っぽいお米が少ない方がよいとのこと。
ただし、等級が良くても、お酒にしづらい年もあるのだそう!

精米

「精米」とは、玄米から茶色い糠の部分を削り、白いお米にする作業をいい、日本酒造りにおいては、いかに精米を行うかによって、原料のお米から引き出せる味わいが異なってくるため、非常に重要な工程となります。

日本酒の表記でよく目にする「精米歩合」は、精米=お米を磨く割合を表す言葉。例えば「精米歩合60%」は、玄米の内側を60%残し、外側の40%を削り落とした白米のこと。

特定名称酒においては、精米歩合によって名乗れるお酒の名称が変わり、「吟醸」は精米歩合60%以下、「大吟醸」は50%以下という規定が設けられているため、酒造はどのようなお酒を造りたいかによって、精米歩合を決めて、精米します。

磨けば磨くほど、お酒の雑味が抑えられ、きれいな酒質の日本酒に仕上がるともいわれ、中には「獺祭」のように、精米歩合23%という大吟醸酒も! ただし、それだけ磨くには丁寧な作業と時間を要し、コストが上がるため、大吟醸が高価なのはその所以。

見学後記

前回に続き、お天気に悩まされた今回の取材。収穫体験を楽しみにしていただけに、急遽延期になり、皆様にリアルな体験をレポートできなかったことは残念ですが、黄金色に染まった荒瀬原の様子や、秋の虫の音など、今回も信濃町の大自然を感じていただけたら嬉しいです♪

こちらは田んぼの近くに栽培されていた蕎麦。
信州といえば、そう、お蕎麦!

蕎麦は、昼夜の寒暖差が10℃以上、最高気温が25℃以下の環境を好むため、信濃町はまさに栽培適地。
秋はちょうど「新そば」の季節。お盆頃に種を蒔き、10月中旬~下旬に収穫されたばかりの「新そば」をいただくことができます。信濃町を訪問するたびに、色々なお蕎麦をいただいては、その美味しさに感動しているE-TOMO取材班です♡

今回は、荒瀬原の農家さんから採りたての信濃町特産・ぼたごしょうと、赤トウガラシも分けていただきました!
美味しい食べ方を伝授していただき、ぼたごしょうは焼いてお醬油で、赤トウガラシは葉も佃煮にして。
空気も水も綺麗な信濃町は、野菜も新鮮で美味しくて感激...ありがとうございました♪

帰る頃には、青空と秋の雲♡

高橋助作酒造店
〒389-1313 長野県上水内郡信濃町古間856番地1
TEL:026-255-2007
WEB:http://www.matsuwo.co.jp/


いかがでしたか?

次回の定点観測では、待ちに待った酒造での日本酒造りです!
田植えから見守ってきた山恵錦を使って、いよいよお酒造りが始まります。

どうぞお楽しみに~!

お酒のナビゲーター「E-TOMO 6」自己紹介


Tomoe
ワイン全般好きですが、シャンパーニュは浸かりたいくらい大好き! 最近は珍しい国のワインと品種に興味津々。聞いたことのない土着品種と出会うと、飲みたくて目がキラキラします☆

haruna
インスタで日々美味しいランチを探してます! 入社当時はワイン派でしたが、最近はもっぱら純米酒が好きになってしまいました♪

ユメコ
榎本のフードファイターと呼ばれるくらい食べることが大好きです! お肉料理が好きなので、さっぱりしたハイボールが大好きです!! 一年中飲んでます!

みゆう
食べるのも飲むのも大好きですが、青森出身なので特に日本酒が好きです!
おいしい料理を食べながらお酒を飲んでいる時間が一番幸せを感じます!

ルミ
すっきりとしたビールが大好きです!
特に趣味のテニスの後に飲む一口目は、まさに至福のひとときと言えます!

ミズナ
乾杯ビールが大好きですが、最近は華やかなエールやフルーティーなビールにハマっています。バスケが大好きすぎて毎週末体育館で汗を流しています! バスケ後のビールの幸せなこと幸せなこと! 飲みすぎないように気をつけます!(笑)