E-TOMO 繁昌Navi No.41

2022年08月31日

カテゴリ:

E-TOMO繁昌Navi No.41

こんにちは! E-TOMO7です。

早いもので8月も最終日。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、3年ぶりに政府による行動制限がない夏でした。お盆休みには、ひさしぶりに帰省し、ご家族とゆっくり過ごせた人も多かったのではないでしょうか。

9月に入ってもまだ残暑は続きますが、すでに「立秋」も過ぎ、暦の上ではもう秋。
この頃からだんだん空が高くなり、いわし雲やうろこ雲、ひつじ雲が見られるようになるのだとか。

秋といえば、E-TOMO7はもちろん、食欲の秋! 秋の味覚とともに、お酒も美味しい季節です。
不思議と9月に入ると一気に秋気分。楽しくわいわい飲みたかった夏から、静かにしっぽりと飲みたくなるものです。日本酒は「ひやおろし」や「秋あがり」が店頭に並び始める頃。秋の夜長に、旬のお酒と肴を楽しみたいですね♡

『E-TOMO定点観測 ~日本酒ができるまで~』その2

1年近くかけて、お酒にまつわる “定点観測取材“ を行う「E-TOMO定点観測」。
2022年は日本酒造りを追いかけることにし、第1回は「田植え」の様子をレポートしました。

5月末に田植えが行われてから約2ヵ月。植えられた稲たちは、元気にすくすく育っているのでしょうか??
第2回は、稲の成長ぶりをレポートします!

第1回の記事はこちら ⇒ E-TOMO繁昌Navi No.39『E-TOMO定点観測 ~日本酒ができるまで~』①田植え

定点観測 ② 出穂と開花

8月に入り、東北地方や北陸地方において、線状降水帯がたびたび発生。大雨による被害が多発し、天候が心配される中、E-TOMO取材班はふたたび長野県上水内郡信濃町へ。

前回は、長野駅よりしなの鉄道に乗り換え、黒姫駅より向かいましたが、今回は長野駅からレンタカーというルート。長野駅西口よりほぼ1本道で、山道を走りながら40分ほどで「高橋助作酒造店」に到着♪

高橋助作酒造店

東京はこの日も36℃を超える猛暑日でしたが、到着すると、涼しい!!
小雨もぱらつく天気ということもあって、気温は30℃を下回り、蒸し暑さは皆無。まるでオーブンのような酷暑の東京からしてみたら、生き返るような快適さです♪

早速、5月に田植えを見学させていただいた「荒瀬原(あらせばら)」地区の水田へGO!
稲たちがどのくらい成長しているのか、ワクワクドキドキ...

おおー! 辺り一面に山恵錦の稲が育っています!! 遠目からは青々としたふかふかの絨毯のよう♪
そして、またもや晴れ女パワー全開、午前中の小雨模様から青空まで出てきました\(^o^)/

5月に田植えを見学させていただいた水田がこちら。

2ヵ月ほどで、すっかりふさふさ! 背丈は60cmくらいといったところでしょうか。

BEFORE:5月末
AFTER:8月頭

こちらは、まだほとんど稲穂が見られなかったのですが、反対側の水田へ移動してみると。

たくさんの稲穂が出ているのを発見! お米ですー!!

茎の中で育ち、まもなく出穂する稲穂

このように、茎の中で育まれた籾(もみ)の集合体である “穂“ が出てくることを「出穂(しゅっすい)」といい、以下のように分類されています。

・走り穂:全体に先駆け、田んぼで一番早く出る穂
・出穂期:約半数の茎が出穂する時期
・穂揃い期:すべての穂が揃う時期

出穂すると、稲は葉で光合成を行い、ブドウ糖を生産して穂に送り込みます。穂は花を咲かせて受粉し、そして、お米となるのです♪

こちらがなんと、稲の花!

実は、農家さんを除き、稲の花が咲いているところを見られるのは、とても稀少なこと。
というのも、午前中の2時間ほどしか咲かないそうなのです。

花といっても、花びらは穂で、白くちょんちょんと飛び出しているのが雄しべ。
穂が開き、雄しべと雌しべが出てきて自家受粉を行い、受粉が完了すれば、すぐまた閉じてしまうのだとか。
こちらはやや閉じ気味ですが、ギリギリ見られて、とってもラッキー!!

稲の成長は、田んぼの水温によっても差が出るとのことで、現に手前の水口付近の稲は、奥の方に比べ、まだ青々としているのが分かります。

このお水の管理が、稲作にはとても大事!

水田というだけあり、ずっとお水を張っているイメージですが、気候条件によって、水を入れたり抜いたり調節しているのだそう。上の画像のように、水を流しっぱなしだったり、水が潤沢にあると温度が上がらず、稲の育ちが遅くなるため、生育を早めたいなら、ある程度乾かして地熱を温め、土の中へ空気を供給した方が良く育つのだとか。

水が潤沢な状態
水を干した状態

特に今年のような暑い年には、水を多めに入れてあげた方がストレスは上がらないものの、6月下旬に8月のような猛暑日が続いたため、果たしてどのようなお米が育つのか??
水田の温度管理は、お米作りにおいて一番大変なことのひとつのようです。

さて、この辺りで皆様にもぜひ大自然の中で元気に育つ稲たちの様子をご覧いただきたく、動画でご紹介します♡

① 水温による稲の色の違い。


②「荒瀬原」の大自然を体感!


③ 「稲穂」が風に揺れる様子。

山恵錦について

今回、定点観測を行っているお米が「山恵錦」。

初めてその名を耳にした人も多いかと思いますが、実は、2020年3月に品種登録されたばかり! 長野県オリジナルの酒造好適米で、”信州の山々からの恩恵” をイメージし、「山恵錦(さんけいにしき)」と名付けられました。

長野県を代表する酒米品種といえば、皆様ご存知の「美山錦」。
全国の酒米栽培面積では、山田錦、五百万石に次いで、3位を誇る人気品種で、寒さに強く、長野県を中心に東北地方でも多く栽培。心白が小さいため、高精米されるのが特徴で、そのおかげか、香りは控えめでクセが少なく、淡麗で美しい日本酒に仕上がるものが多く、その味わいに魅了された人が「ミヤマ二スト」を名乗るほど、根強いファンを有する酒米として知られています。

その「美山錦」に変わりうる品種として育成されたのが、この「山恵錦」。
長野県にとっては、1997年の “ひとごごち” 以来、四半世紀ぶりに誕生した新しい酒米で、驚くことに、品種登録申請中から国内外の日本酒評価コンクールで最高賞を数々と受賞し、鮮烈で華々しいデビューを飾るなど、今もっとも注目される酒米のひとつ。高橋助作酒造店では、次にお話しするように、品種登録前から携わってきた酒米です♪

栽培適地

長野県では標高800m以下(北信は700m以下)の地帯が栽培適地。
2020年の長野県における栽培面積は45ha(農業技術課調査)

特徴

・「美山錦」と同じ成熟期の中生で、積算温度型
・稲の丈が短く倒伏しにくく、冷害やいもち病に強い
・収量・玄米重とも「美山錦」より優れる
・心白の発現率が高く、玄米の外観品質が優れている
・精米時の割れが少なく、酒造りでは溶けやすい
・麹製造適性に優れ,製麹時のアミノ酸生成量が少ない
・芳醇な含み香があり、なめらかさがある
・見た目では、穂先にある尖った部分「芒(のぎ)」が長い
 ⇒籾を鳥などに食べられないための自己防衛手段

穂先の長い芒(のぎ)

酒蔵との関わり

高橋助作酒造店では、「山恵錦」の試験栽培と醸造に、2013年の開始当初から継続参加し、品種登録に貢献。
2018年には、酒米としての評価がまだ定まらない品種登録申請中に、信交酒545号(のちの山恵錦)を100%使用した純米大吟醸で、異例の国内三冠(全国新酒鑑評会「金賞」、関東信越国税局「優秀賞」、長野県「知事賞」)を受賞し、山恵錦の可能性を自ら実証。2021年には、ロンドンのIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の純米大吟醸部門において、山恵錦100%で初の金賞を受賞しています。

山恵錦のお酒

高橋助作酒造店を代表する酒米品種となった「山恵錦」から造られたお酒をご紹介します!

松尾 「信州長野」 純米吟醸(生貯蔵酒)

「信州長野」は、そのテロワールを表現するため、信州産米と善光寺平地城の水を使用し、単一の酒蔵にて造られる純米酒「生一本」の規格。伝統な手造りで醸した現代的な香味で、フルーティーで軽やかな、やや辛口。キレのある飲み口に、一度火入れした生貯蔵酒の飲みやすさが魅力です。

※火入れタイプ別出荷商品

原 料 米:山恵錦100%(長野県産)
精米歩合:60%
Alc.度:15度
日本酒度:-2
酸  度:1.8
参考小売価格:1,400円(720ml)/2,780円(1.8L)

ユメコ:
3本の中で一番酸が高く、すっきりとした味わい。料理とも合わせやすく、夏は冷やして飲みたい1本。スルスル飲めて、危険な美味しさです♪



松尾 限定 純米吟醸

香味のバランスを重視し、受注生産で出荷する純米吟醸。信州長野の湧水と長野県産の酒米を100%使用し、伝統的な手造りで醸した、現代的な果実香味。華やかな果実の香りで、まろやかなやや辛口。

原 料 米:山恵錦100%(長野県産)
精米歩合:59%
Alc.度:16度
日本酒度:-3
酸  度:1.5
参考小売価格:1,450円(720ml)/2,880円(1.8L)

みゆう:
バナナやメロンの吟醸香に、純米ならではのお米の香り。味わいは辛すぎず甘すぎず、もっともバランスの取れた、誰からも愛される純米吟醸。夏は冷酒で、冬はぬる燗でと、1年を通して楽しめます♪



松尾 松乃尾 “Premium” 純米大吟醸

高橋助作酒造店で造られる日本酒ブランド「松尾」の中でも、特上ランクの純米大吟醸、松乃尾プレミアム。優れた香味のバランスをお楽しみいただくために、厳選された原酒を使用した純米大吟醸は、地元信濃町で契約栽培した山恵錦を100%使用。ほどよい華やかな香りと、まろやかな味わいのハーモニーが楽しめます。

原 料 米:山恵錦100%(信州長野 信濃町産)
精米歩合:35%
Alc.度:16度
日本酒度:-4
酸  度:1.3
参考小売価格:3,800円(720ml)/7,600円(1.8L)

Tomoe:
洋なしのフルーティーで華やかな香りと上品なお米の甘さで、お酒が主役になれるプレミアムな純米大吟醸。華やかな香りを楽しむために、ワイングラスで飲むのもオススメ! 和食に限らず、フレンチのペアリングコースにもぜひ取り入れていただきたい1本です♡

見学後記

田植えレポートからあっという間に2ヵ月半が経ち、再び信濃町の地を訪れることができました。

美しく育った稲穂に感動したのはもちろん、豊かな大自然に癒され、バッタやトンボにアゲハ蝶、四つ葉のクローバーを見つけては、童心に返り、はしゃぐE-TOMO7。お土産にいただいた朝採りのとうもろこしは、びっくりするほど甘くて美味しく、帰りの新幹線では、もっと長くいたい! 東京に帰りたくない! と思わず本音がポロリ(笑)

次回、お米を収穫しに行くのが楽しみでなりません♡

高橋助作酒造店
〒389-1313 長野県上水内郡信濃町古間856番地1
TEL:026-255-2007
http://www.matsuwo.co.jp/


いかがでしたか?

次回の定点観測では、いよいよ実ったお米を収穫します!
田植え以上にわくわく...果たしてどんな稲刈りをするのでしょうか?

第3回の配信は、10月下旬以降を予定しています。どうぞお楽しみに~!

お酒のナビゲーター「E-TOMO 7」自己紹介


Tomoe
ワイン全般好きですが、シャンパーニュは浸かりたいくらい大好き! 最近は珍しい国のワインと品種に興味津々。聞いたことのない土着品種と出会うと、飲みたくて目がキラキラします☆

haruna
インスタで日々美味しいランチを探してます! 入社当時はワイン派でしたが、最近はもっぱら純米酒が好きになってしまいました♪

ユメコ
榎本のフードファイターと呼ばれるくらい食べることが大好きです! お肉料理が好きなので、さっぱりしたハイボールが大好きです!! 一年中飲んでます!

みゆう
食べるのも飲むのも大好きですが、青森出身なので特に日本酒が好きです!
おいしい料理を食べながらお酒を飲んでいる時間が一番幸せを感じます!

ミク
焼酎・日本酒など「The・和酒!」が大好きで、相棒のエイヒレ、いぶりがっこチーズとともに楽しんでいます。入社前からですが、お酒のラベルを見るだけでワクワクが止まらないので、新たな銘柄開発にハマっています!