E-TOMO 繁昌Navi No.49

2023年07月19日

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E-TOMO繁昌navi No.49

こんにちは! E-TOMOです。

連日の猛暑で早くも夏バテしそうな毎日ですが、皆様いかがお過ごしですか?
仕事をがんばった後は、キンキンに冷えたビールやスパークリングワインで喉を潤したいですね♪

関東地方が梅雨入りしたのは、6月8日。
1ヵ月以上続いた梅雨も、7月半ばを過ぎてようやく明けそうですが、7月に入ってからというもの、連日の35℃を超える猛暑日や突然の大雨など、異常気象が続いているので、警戒が必要です。

さて、1年近くかけて、お酒にまつわる定点観測取材を行う「E-TOMO定点観測」。
大好評だった2022年の日本酒造りに続き、2023年は、ワイン造りをブドウ栽培から密着レポ―ト!

前回の取材から早2ヵ月・・・ブドウたちは、どのくらい成長したのでしょうか?
第2回は、「傘かけ」の様子をレポートします♪

第1回をご覧いただいていない方はこちら:
『E-TOMO定点観測 ~ワインができるまで~』①芽かき

『E-TOMO定点観測 ~ワインができるまで~』No.2

6月半ばのある日、E-TOMO取材班は、再び山梨県甲州市へ。

第1回の取材日が悪天候だっただけに、今回は絶対晴れて、甲州の美しい大自然を皆様にお伝えしたい!
そんな意気込みを打ち砕くかのような梅雨入り宣言・・・数日前まで天気予報は雨・・・

ところが、いざ当日は、本来の晴れ女パワーを発揮し、見事なお天気に恵まれました!!

こちらが定点観測取材にご協力をいただいている、山梨県甲州市勝沼町の白百合醸造。
見てください、この真っ青な空をー!! ワイナリーの白い柵とのコントラストが美しいです♪

この日の甲州市の気温は、最低19℃、最高29℃。
空気が澄んでいることで、日差しはジリジリ照りつけますが、時折涼しい風が吹き抜け、ブドウたちが育つのに絶好の立地であることを、肌で感じることができます。

白百合醸造のトレードマークであるエントランスのブドウ棚も、葉が生い茂り、ブドウの実をつけていました(^^)
ブドウ品種は、マスカット・ベーリーA。大きさに差があるのは、ブドウの成長には葉が8枚必要なのだとか。

ワイナリーに到着したのは、9:00amすぎ。
6月とはいえ、日中はかなり暑くなるため、到着早々着替えて、ブドウ畑へGO!

まずは、4月末に「芽かき」をおこなった畑へ。約2ヵ月でどのくらい育っているのか、ワクワク・・・

おおー! あたり一面に広がるブドウ畑!!
成長して垣根も高くなり、どの樹もブドウの実をつけています♪

こちらが前回「芽かき」をしたプティ・ヴェルド。

BEFORE: 4月末
AFTER: 6月半ば

ブドウの成長はもちろんですが、こんなにきれいな山々に囲まれていたとは!! 同じ畑とは思えません(笑)

まだ果粒は小さいですが、あちらこちらにブドウの房がたくさん。2ヵ月でここまで育つんですね♪
プティ・ヴェルドは赤ワイン用のブドウなので、成熟とともに色が黒くなっていきます。

葉の白い斑点は「ボルドー液」と呼ばれる殺菌剤。100年以上前から世界中で使用されており、病原菌に対する殺菌効果と、植物の病害抵抗性を強める2つの働きがあり、有機農法でも使用することができます。

ちなみに、今回畑をご案内くださるのは、入社5年目の女性栽培家、石場さん。
白百合醸造では、3人の栽培家が自社畑のブドウを管理し、良質なブドウ栽培に奮闘されています。

日焼けと蚊に刺され対策のために、肌の露出を極力避け、全身を覆って完全防備! 足元は長靴です。
夏はさぞかし暑いのでは・・・と心配になりますが、これでも日焼けしてしまうのだそう。
上着の背中には扇風機が装着できたり、様々な工夫を凝らしつつ、こうして日々自然環境を相手にしながら、大切にブドウを育ててくださる栽培家の皆様のおかげで、健康なブドウが育ち、美味しいワインが飲めるのです♪

ブドウの雨よけ対策

芽かきをしたプティ・ヴェルドは、「垣根仕立て」で栽培されています。
今回、ブドウ樹全体に「レインカット」と呼ばれるビニールがかけられていました。

「レインカット」とは、ブドウを雨から守るために掛けられるビニールのこと。
白百合醸造では、昨年からこの方式が採用されています。

水は作物の成長に不可欠ですが、ブドウにとっては、生育期には日照が多く、雨が少ないことが理想的。
多量の雨は、カビや病害の原因となったり、果粒が水分を吸収しすぎて水膨れとなってしまうこともあるからです。

日本では、大切なブドウの生育期に台風が到来し、大雨が降ることが多いため、雨よけ対策が必須!
こうしてレインカットしてあげることで、ブドウに雨が当たるのを最小化し、病害を抑制することができます。

こちらはブドウの房ひとつひとつに傘がかけられた、従来の垣根仕立ての畑。

この「傘かけ」は、今も多くのワイナリーで行われている一般的な雨よけ方法。
ブドウ一房一房に手作業で傘をかけていくため、かなりの時間と労力を要するのは、一目瞭然!
これをレインカットに切り替えることで、大幅に作業時間が短縮でき、体も楽になります。

ただし、レインカットを装着するには、専用の支柱が必要だそうで。

このドーム型の支柱を組み立てるワイヤーを巻くのも、なんとすべて手作業!
そのため、今しばらくは傘かけと併用になりますが、徐々にレインカットに切り替えていけると良いですね♪

定点観測 ②傘かけ

さて、ようやく今回のメインテーマである「傘かけ」について。

「傘かけ」とは、ブドウを雨から守り、健全に熟した果実を収穫できるよう、ブドウに傘をかける作業のこと。
6月~7月にかけておこなわれ、台風の到来や、収穫期の秋雨に備えます。雨よけ以外に、直射日光を和らげる効果も。

この日は、栽培家Hさん担当のマスカット・ベーリーAの畑で、傘かけの真っ最中!
棚仕立てのブドウ一房一房に、手作業で丁寧に傘をかけていきます。

せっかくなので、E-TOMO取材班も体験させていただきました(^^)

傘かけに使うのは、「蝋引き傘」と呼ばれるパラフィン紙。
雨をはじくよう、片面にワックス加工が施され、ツルツルの面を外側、ざらざらな面を内側にして、中央の切り込みをブドウの根元部分に合わせ、傘を作ってホチキスで留めます。

傘は、ワイナリーによって様々で、ブドウが傷つかないようツルツル面を内側にしたり、遮光性のあるクラフト紙や、オリジナルの傘紙を特注して使用しているところも。

慣れてくると、パチパチとても楽しい傘かけ! ぜひ動画でもご覧ください♪

棚仕立てのブドウ栽培

甲州やマスカット・ベーリーAなど、日本固有の品種をはじめ、日本で栽培されている品種の多くが「棚仕立て」で栽培されていることは、前回お話ししました。

甲州 Koshu

まずは、山梨県を代表する白ワイン用のブドウ品種、甲州。
山梨県で発見され、1,300年以上の歴史を持つ伝統的なブドウ。成熟すると果皮はグリ色(赤紫色)に。
晩熟で、収穫も全ブドウの中で一番遅いため、まだ実が小さくて未熟です。

甲州から造られるワインは、スダチやカボスといった和柑橘の香りが特徴で、和食にぴったり!
その証に、5月に広島で開かれたG7のワーキングランチでは、白百合醸造の甲州ワインが振舞われました♪
記事はこちら:G7広島サミット 2日目ワーキング・ランチにて「甲州 Vigne de Nakagawa2021」が提供されました

マスカット・ベーリーA Muscat Bailey A

同じく日本を代表する赤ワイン用のブドウ品種、マスカット・ベーリーA。
新潟県初のワイナリー、岩の原葡萄園の創設者・川上善兵衛氏によって、1927年に開発。
フォクシーフレーバーと呼ばれる甘いキャンディー香が特徴で、原産地は新潟県ですが、主に山梨県で栽培。
甲州に比べると、実がぷっくり。茎(軸)が赤いのも見て取れます。

白百合醸造では、3人の栽培家で、3つのマスカット・ベーリーAの畑を分担。
それぞれの畑で、独自の栽培方法に挑戦しています。

こちらは、石場さん担当の畑。
昨年から、ブドウの房を敢えて振るい気味に育てるために、約18㎝まで育ったところで先端をカット。
たしかにすべてのブドウの先端がカットされています!

元来ワイン用ブドウは、果粒がギュウギュウに密着するよりも、粒と粒の間にある程度の隙間があった方が、病気になりにくく、一粒一粒に栄養が凝縮して良いとされています。こちらも先端をカットして成長を抑制することで、ブドウの果粒にエネルギーを集中させ、小粒、かつ、色が来るように育てる試みです。

この後さらに、成長のタイミングを見計らい、1新梢につき1房に、ヴェレゾンの初期には、4新梢につき2~3房まで、摘房(=ブドウの房を間引き)するのだとか。手間は3倍かかるものの、より高品質なブドウ造りを目指し、石場さんの挑戦は続きます。

いずれ各畑の特徴を生かした、畑名を名乗るマスカット・ベーリーAワインが造られる日も、近いかもしれませんね♪

白百合醸造のブドウたち

自社畑で栽培されている、その他のブドウも見せていただきました。

シャルドネ Chardonnay

主に垣根仕立てで育てられるシャルドネですが、棚でも栽培。きれいな小粒の実をたくさん付けています♪ これから成熟とともに黄金色になっていく予定。
白百合醸造では、自社畑のシャルドネから、世界と戦えるクオリティーの高い白ワインを醸造。現行ヴィンテージは2022年<806本限定>。第1回の記事にて、テイスティングコメントをご紹介しています。記事はこちら:ロリアン シャルドネ 2021

アジロンダック Adiron Dack

山梨県甲州市勝沼町周辺でのみ栽培される「幻のブドウ」。
勝沼で最初に造られた赤ワインにこのブドウ使われたといわれ、昭和初期頃までは多くの農家で栽培されていたのが、熟すとポロポロ脱粒することから、食用には向かないと廃れていった品種。
近年は幻のワイン復刻のために栽培者も増加。ワインはコンコードや巨峰といった甘いラブルスカ香に、鮮やかな赤色が印象的。
早熟で、8月頭には収穫が始まるため、すでにぷっくりした実がついています。

試験園

白百合醸造では、勝沼のテロワールに合う適地適品種を見つけるために、試験的に栽培している品種も色々。
山幸、メルロー、カベルネ・フラン、タナ、ネッビオーロ、バルベーラ、サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョなど、それぞれのルーツや、栽培・醸造についてのストーリーを聞くだけでも楽しく、話は尽きません♪

山幸(やまさち)
メルロー
カベルネ・フラン
テンプラニーリョ

取材後記

見事な晴天に恵まれた今回の取材。 美しい勝沼で育つブドウの絵がたくさん撮れて、大満足なE-TOMO取材班。
4月末に芽かきをしたブドウは、あれから花が咲き、実がなり、今まさにブドウの生育期でした♪

広い自社畑の栽培を担当しているのは、たったの3人! 収穫期など人手が必要な時は、アルバイトさんやボランティアの方々がお手伝いにやってきますが、白百合醸造では農作業体験を随時募集しているので、ご興味のある方はぜひ問い合わせてみてください。傘かけでお忙しい中、午前中の貴重なお時間を取材にご協力いただいた石場さん、本当にありがとうございました。

ブドウ畑の横には、まもなく収穫期を迎える桃が。そう、山梨県といえば桃! あまりに美味しそうで、採りたい衝動に駆られますが(笑) あの果実の細かい毛のせいで、桃農家さんは手や顔、首にかゆみが出て、大変なのだそう・・・ブドウもモモも、私たちが美味しくいただけるのは、栽培家や農家さんの苦労あってこそなのですね♪

最後に、今回のほうとう。白百合醸造すぐ近くの「皆吉(みなき)」さんへ。
明治期に建てられた純和風の立派な日本家屋は、地元の名士である医師の住まいだったとのこと。自家製の味噌とだしで丁寧に作られるほうとうは、行列ができるほどの超人気店! 内田社長に連れて行っていただき、貴重なお話とともに、大変美味しくいただきました。ごちそうさまでした(^^)

白百合醸造
〒409-1315 山梨県甲州市勝沼町等々力878-2
TEL:0553-44-3131
WEB:https://shirayuriwine.com/


いかがでしたか?

次回の定点観測は、いよいよ成熟したブドウたちを収穫します。
少し先になりますが、10月頃の配信を予定していますので、どうぞお楽しみに~!

お酒のナビゲーター「E-TOMO FRIENDS」自己紹介


Tomoe
ワイン全般好きですが、シャンパーニュは浸かりたいくらい大好き! 最近は珍しい国のワインと品種に興味津々。聞いたことのない土着品種と出会うと、飲みたくて目がキラキラします☆

haruna
インスタで日々美味しいランチを探してます! 入社当時はワイン派でしたが、最近はもっぱら純米酒が好きになってしまいました♪

ユメコ
榎本のフードファイターと呼ばれるくらい食べることが大好きです! お肉料理が好きなので、さっぱりしたハイボールが大好きです!! 一年中飲んでます!

ルミ
すっきりとしたビールが大好きです!
特に趣味のテニスの後に飲む一口目は、まさに至福のひとときと言えます!